5月県議会で問う!「政治で大切なものは?」/「要諦は危機管理だと痛感」知事

コロナ禍、マスクを着けて質問する松本県議(上)

 松本基志県議は5月29日、県議となって2回目の県議会・一般質問に臨みました。新型コロナウイルス感染症が県内に蔓延し、県、県議会、県民の関心が感染症対策に集中する中で、松本県議は山本一太知事に「政治で大切なものは何か」を問いかけ、知事から「政治の要諦は危機管理だと痛感しました」の答弁を引き出しました。県民の「生命」と「安全」を守ることを重視してきた県議の姿勢が、2回目の一般質問で際立ちました。

◎知事4つの大切に言及

松本 知事は就任後最初の昨年(令和元年)夏の県議会で、①県民の幸福度を上げる②県民の新しいプライドをつくる③財政の健全化—の3つの課題を所信表明で掲げました。5月までの10カ月をどう感じているかお伺いしたい。

知事 毎日が怒涛の日々、緊張の連続、決断の連続でした。政治の要諦は危機管理と痛感し、県庁職員の優秀さ、モラルの高さを知りました。
今後は①県庁職員の潜在力、能力を最大限発揮できる環境をつくる②市町村との連携を強めていく③県議会との安定した関係を構築する④情報発信に力を尽くす—の4つが大事と思ってる。この4つをしっかり整備することが、新型コロナウイルスをめぐる長期戦に備える対応ともなる。

松本 財政の健全化についてはどう考えているか。

知事 昨年10月の中期財政見通しは、赤字が毎年200億円出るという衝撃的な内容で、既存事業を見直すことになりました。ふるさと納税の積極的な活用など、歳入の確保にも努めています。
財政調整基金は何とか52億円確保したが、コロナ対策でほとんど取り崩しました。財政調整基金の積み上げを念頭に財政健全化を目指します。

松本 県は総合計画を策定していますが、財政計画を含めた総合計画を要望します。

◎防災・減災はライフワーク

松本 昨年の台風19号による公共土木施設の被害状況について伺いたい。

県土整備部長 県と市町村が管理する施設703カ所、被害額は238億円です。このうち県有施設の被害は450カ所、187億円です。復旧工事は今年3月末までに237カ所の発注を終え、令和3年3月までに県有施設のすべてで発
注し、全体の6割について復旧を終える計画です。

松本 本年度内に6割の復旧ということですが、自然災害は毎年起こることを覚悟しなければならない時代です。対策では、SNSを使った取組みを含め情報の収集と発信がたいへん重要になってくるのではないかと感じている。

県土整備部長 河川で氾濫危険水位を超えた状況を速やかに発信できる準備を進め、数時間後の水位や氾濫を予測するリアルタイム水害情報システムを開発中です。今後も市町村と連携しながら、自然災害による死者ゼロを目指して対策を進めてまいります。

松本 私は防災士でぐんま地域防災アドバイザーです。台風19号の際は自宅近くの県立高校で避難所の運営に携わりました。これは危機管理への要望ですが、避難所を増やして、「3密」を避ける対策を進めていただきたい。

◎高崎の古墳文化世界へ

松本 綿貫観音山古墳出土品は国宝になりました。今後の活用について伺いたい。

地域創生部長 県立歴史博物館は国宝の出土品を常設展示しています。7月には、通常非公開の埴輪などを含む企画展を開催しました。世界に誇れる群馬の歴史文化遺産の魅力を情報発信していきます。

松本 今回の国宝指定を契機に、私は群馬を古墳とか埴輪の聖地にする必要があるのではないかと思っています。県立女子大をはじめ県内の大学や短大に考古学とか埴輪、古墳に特化した学科の設置も検討していただきたいし、最終的には世界遺産への取組みも期待させていただきます。

◎Gメッセの「在り方」問う

松本 Gメッセ群馬のオープンも新型コロナウイルス感染症の影響で遅れました。ウィズコロナの時代は施設の在り方が問われる。
戦略セールス局長 感染防止対策を徹底してGメッセ群馬はオープンしました。ウィズコロナの時代に、どのように大規模なイベントを行なうか。3密を避ける非接触型のイベントとか、デジタル技術を活用したイベントとかを積極的に誘致することも考えています。


◎「医療」「経済」の対策求める

松本県議は一般質問で、新型コロナ感染症について医療体制、経済の両面から質問しました。感染症の第2波、第3波への備えを健康福祉部長に聞き、部長は「医療提供の整備を計画的に進め、県民に安心してもらえるよう取り組んでいます」と答えました。

松本県議はもう一つ、県内事業者の経営への影響、特に解雇や雇い止めについて憂慮していました。

産業経済部長は「経営、労働などの相談は多数寄せられ、国の持続化給付金や雇用調整助成金、県の無利子・無担保融資の利用を勧めている」と応じ、その上で「雇用の維持と事業者の事業継続に万全を期したい」と答弁しました。

松本県議は5月以降も、感染症対策の医療、経済の状況に目を光らせています。