令和元年第2回定例会厚生文化常任委員会(こども未来部、健康福祉部及び病院局関係)

——以下引用——

◆松本基志 委員
先週、草津温泉の時間湯が大々的に新聞で報じられた。新聞によれば、時間湯は江戸末期に湯治の間で始まった草津温泉独自の入浴法とのことだった。準備運動を兼ねて湯温を下げる湯もみをし、湯長の合図で高温の風呂に3分間だけ入るそうである。指導者である湯長を来年3月で廃止する方針を草津町が出した。本件の発端は湯長の指導が医療行為に該当する可能性があるとのマスコミ報道であり、これに対して地元や湯治客からも戸惑いの声が上がっていた。本件に群馬県はどう関わっているのか伺いたい。

◎中島 医務課長
草津町の湯長の入浴指導が医療行為に当たるかどうかについて、一般論から説明したい。医療法17条には医師でなければ医業をなしてはならないという規定がある。これは医師資格がない者が医療行為を行うことを禁じることによって患者一般の生命健康を保護するという法の趣旨に基づくものである。医療行為が何を指すかについては国から行政解釈が示されており、「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は被害を及ぼす恐れのある行為」とされている。ただ、個々の行為が医療行為に当たるかどうかについては、当該行為がなされた状況や社会的な意義を踏まえ、個別具体的に判断すべきであるとされており、時代や医療技術の変遷などによっても判断が異なることから、訴訟になっている事例もある。県では湯長の業務内容について詳細を承知しておらず、これまで草津町から相談を受けたこともない。今回の草津町の決定は、あくまでも町として総合的に判断した結果だと思う。この判断について言及するのは適当でないというのが県の考え方である。

◎松井 薬務課長
薬務課では温泉の利用に関して温泉法に基づき、その利用法について指導している経緯がある。温泉法では温泉の利用箇所に、禁忌症や浴用又は飲用上の注意という医療的な注意事項を提示することになっており、その範囲であれば比較的問題ないものと考えている。先の医務課長の説明のように具体的な湯長の指導内容がわからないことから、温泉法上の指導等の要否については、今のところ判断しかねている。それから、薬務課への時間湯に係る苦情や草津町からの相談、吾妻保健福祉事務所への時間湯に係る問合せ等はなかった。

◆松本基志 委員
先週マスコミ報道があったと話したが、同じ新聞に今日は県民の意見が載っており、これ何とかして残してほしいとのことだった。県民の関心のある話題であり、私のところに話を持ってくれた人は毎年のように時間湯へ行っており、健康増進の効果があって江戸時代末期から行っている伝統を町の判断で廃止してしまうのはいかがかという考えであった。県は指導監督する立場にないのかもしれないが、県民の健康福祉の増進に多少なりとも役立ってるのであれば、県として今後の対応を検討してもよいと思うがどうか。

◎中島 医務課長
一義的に湯長の行為は医療行為に当たらないとか、当たるといった判断は難しいと思っている。

◆松本基志 委員
報道によれば、来年3月で湯長は廃止をするが、時間湯の伝統を残したいとの町の発言もあった。これまでは湯長が指導して3分間という短時間高温の中に入っていたものが、湯長がいなくなると逆に危険ではと心配する人もいると聞いている。県として直接携わる立場にないかもしれないが、今後もぜひ見守っていただきたい。