令和5年第2回定例会危機管理・エネルギーに関する特別委員会

——以下引用——
◆松本基志 委員
先ほど説明いただいた、資料1「レジリエンスの拠点」について伺いたい。これについては、昨年の第3回後期定例会でも一般質問で取りあげ、知事と議論させていただいたところである。
説明の中でも、近未来構想3つの柱の1つということで、しっかりと進めていくとの話であった。レジリエンスの拠点についてまとまったものを示していただいたのは初めてである。資料10ページに「レジリエンスの拠点」として記載されており、1つは県民の命に関わる安全確保の体制を万全に整える、災害レジリエンスNo.1の実現、もう1つは「日本の危機を支える」として、首都圏で何かあった際に本県の優位性を生かして首都圏を支える、となっている。先ほど危機管理課長からは、災害レジリエンスNo.1の実現が、本委員会での議論の中心になるのではないかとの発言もあった。
資料1の9ページに「東京一極集中における自然災害リスク」として12項目あり、それに対して群馬県の優位性を示していただいているが、首都圏を支える具体的な取組について伺いたい。

◎菊地 レジリエンス推進室長
レジリエンス拠点への取組を強力に進めるため、令和5年度の組織改正により総務部危機管理課内にレジリエンス推進室を設置したところである。レジリエンス拠点の実現のための取組は、多くの部局に関わることから、実効性の高い推進体制について現在検討を進めているところである。

◆松本基志 委員
実際に、現在記載された12項目に対して、群馬県の優位性で具体的に取り組んでいることはないか。

◎菊地 レジリエンス推進室長
現在、各部局において、群馬県の優位性という観点からの事業について取組を進めているという状況であり、今年度中にそれを検討する体制等を整えつつ、進めていければと考えている。

◆松本基志 委員
昨年の知事答弁の際も、本県は災害が少ないので本社機能を移転しようだとか、ミシュランの進出、NTTが高崎に本社機能を分散させるという話があり、サプライチェーンなどにもしっかり取り組もうということになっていた。これらは全庁的な取組が必要だと考える。12項目あり本委員会だけでも多くの執行部担当者が出席している。それを取りまとめるためにレジリエンス推進室ができたと認識している。災害はいつ起こるか分からない。何かあった際、日本の政治経済を支えるのは群馬県だと思っているので、是非具体的な取組を進めてほしい。
次に、地域防災力の向上について伺いたい。群馬県は地域防災アドバイザーという制度を作り、平成28年から防災士養成講座を開催している。地域防災アドバイザーが何人誕生しているのか、また、防災士が現在何人いるのか伺いたい。

◎飯塚 危機管理課長
現在、県の地域防災アドバイザー養成講座を経てアドバイザーとして登録いただいている方は、県内に906人となっている。また、防災士として県内に在住している方は、2,541人である。

◆松本基志 委員
地域防災アドバイザーも906人まで増えてきたとのことで、取組を継続していただきたい。
地域防災アドバイザーの制度には、2つ課題があると考えている。1つは、防災士から地域防災アドバイザーになっていただいた方のスキルアップである。防災士資格を取得し、救命講習などを受けて地域防災アドバイザーに委嘱しているが、これだけでは足りない。その後、県でフォローアップ研修も行っているが、昨年の一般質問の際、実技研修などもやった方がよいのではないのかと質問させていただいたが、令和5年度に検討するとの答弁であった。今年度、地域防災アドバイザーのレベルアップに係る取組はどうか。

◎飯塚 危機管理課長
地域防災アドバイザーのレベルアップという課題については、制度を検討し、令和5年度から見直しを行っている。これまでは、養成講座受講による防災士資格取得者は、全てアドバイザーに登録することとしていたが、今年度からは地域防災アドバイザーとして活動する希望がある方を対象にアドバイザー基礎研修を受講していただき、本当に地域で活動したい方を登録する制度に改めている。
また、スキルアップの部分については、既存の研修制度を組み替え、スキルアップ研修を今年度からスタートさせる予定である。基礎研修を経て地域防災アドバイザーに登録していただいた方には、まずスキルアップ研修として実技を意識した研修を受講いただき、そこからステップアップしていくような形の研修を考えている。まずは今年度行う研修を経て、次からは地域ごとに実技や、地域での活動、実践を意識した研修とし、市町村や地域の自主防災組織の方にも参加していただくなど、実際の活動につなげていくような研修を考えている。

◆松本基志 委員
基礎研修の内容はどのようなものになるか。

◎飯塚 危機管理課長
基礎研修については、アドバイザーとしての活動の基礎などを動画で配信し、視聴いただく形を考えている。

◆松本基志 委員
一般質問で取りあげた際、フォローアップ研修で実技を取り入れる話があったが、一度はDIG・HUG(災害図上訓練・避難所運営ゲーム)をやり、地域防災マップ作りをやるなど、順番に進めるのがよいのではと提言させていただいた。令和5年度にはそのような実践的な実技研修は予定されているのか。

◎飯塚 危機管理課長
今年度は、実技を意識した座学を予定している。当然DIG・HUGの知識などを身に付けていただき、翌年度以降の実技研修につなげていくことを考えている。

◆松本基志 委員
その辺も含めて是非取り組んでいただきたい。
課題の2点目は、地域防災アドバイザーや防災士をいかに地域に落とし込んでいくかである。地域防災アドバイザーになったとしても、地域になかなか入っていけないというケースがある。最終的に、地域の自主防災組織の中に入っていくような仕組みが必要であると考える。県ではどのように取り組んでいくのか。

◎飯塚 危機管理課長
スキルアップ研修の次の段階は、地域ごとの開催を予定しており、そこには市町村の職員や自主防災組織の役員の方などにも参加いただく。地域防災アドバイザーの方と顔の見える関係を築いていただき、そこから実際の活動につなげていければと考えている。

◆松本基志 委員
これまでの災害時の例を見ても、やはり初動の地域防災が大切である。それによって救われるものが多くある。公的機関が活動を開始するまでにはある程度の時間がかかる。それを考えた際、地域防災力をどれだけ上げられるかが本当に大事だと思う。今後とも、取組を進めていただくようお願いしたい。